北川悦吏子さんの人気エッセイ『生きるのに必要な、29のこと。』(大和書房)、 『恋愛指南書』(角川書店)。生きること、恋することの心の機微がイキイキした言 葉で綴られている。
 かれんさん、こんにちは。お元気ですか?
 初めてかれんさんに会ったのは、ローリーこと弟さんであり
写真家の桐島ローランドさんが主催した、スノッブなお茶会。
それはそれは大がかりなもので、自分のスタジオに砂を敷きつめて、
お茶室を作り、なんかフランス映画のセットみたいでしたよね。
初対面の人ばかりで、ただただ緊張する私に、かれんさんは、
なんというかざっくばらんな雰囲気で「よくやるわよねえ、ローリーも。
私はとてもとても真似できないわ」と耳元で囁き、
おっ、なんか自分と空気が似てる、と思ったものでした。
 そして、かれんさんのお店の案内とお手紙をいただき、
行こう行こうと思っているうちに、時は過ぎ……。
 再会は、近所の路上でした。
 ハロウィンの日。私は、娘と娘の友達、その母親たちと
「Trick or treat!」と言い、近所を回り、
かれんさんはかれんさんで、お子さんとその友達とお母さん仲間で、
「Trick or treat!」。
 バリッと本気の悪魔の姿でした。かれんさん。美しくこわかった。

*Trick or treat! トリック・オア・トリート!(お菓子をくれなきゃ、いたずら しちゃうぞ)。ハロウィンの決まり言葉

 私は最近、思うんですが、同業者でもなんでも、男の人は、
その人の職業や仕事と心中でもするか、という勢い。なんていうか、
社会的立場、に支配される生き物。
 で、女の人はというと、何か職業を持っても、お勤めしていても、いつも、
基本は、女の人なんですよね。妻であったり、母親、であったり、
ただの女、であったり。
 肩の力が抜けている、というか。女に生まれたんだから、
まずは、それを楽しまなきゃね、という感じ。美しい悪魔の姿のかれんさんと、
お姫さま姿のウチの娘を見て思った次第です。

 今度、ゴハンでも食べませんか? ウチの兄とそちらの弟君、
ローリーも誘って。きょうだい対決、です。ウチの兄は、御存知のように
大学の先生ですが、あれはあれで、変です。期待してください。

北川悦吏子
 
桐島かれん 様
 
北川悦吏子 (きたがわ えりこ)
1961年、岐阜県出身。脚本家。
早稲田大学第一文学部卒業後、にっかつ撮影所に入社。89年テレビ東京「赤い殺意の館」でデビュー。92年「素顔のままで」の大ヒットで脚光を浴びる。95年「愛していると言ってくれ」、96年「ロングバケーション」が大ヒットし、同名の小説も刊行。2000年の木村拓哉、常盤貴子主演「ビューティフルライフ」は社会現象にもなり、視聴率40%以上を記録。向田邦子賞他、テレビ関係の各賞を総なめにした。
■ 贈る×手紙 1 秋元康さんから、柴門ふみさんへ 「30年後の思い出
■ 贈る×手紙 2 柴門ふみさんから、北川悦吏子さんへ 「届かなかった手紙
■ 贈る×手紙 3 北川悦吏子さんから、桐島かれんさんへ 「美しい悪魔とお姫さま」
■ 贈る×手紙 4 桐島かれんさんから、桐島洋子さんへ 「故郷をありがとう
■ 贈る×手紙 5 桐島洋子さんんから、俵万智さんへ 「祝福の歌にかえて
■ 贈る×手紙 6 俵万智さんんから、明川哲也さんへ 「いつも、ありがとう
■ 贈る×手紙 7 明川哲也さんんから、久石譲さんへ  「そろそろ飲む頃合です
■ 贈る×手紙 8 久石譲さんから、秋元康さんへ 「てーげーに
Copyright (C) 2005Manbow all rights reserved.